製造産業技術協同組合

出身国別ガイド

南北で多彩な文化を持つ国

ベトナム

東南アジアのインドシナ半島東部に位置する、南北に細長い国です。北部・中部・南部で気候、料理、言葉の表現などに違いがあります。

日本には68万人を超えるベトナム人が暮らし、技能実習・特定技能をはじめ、幅広い在留資格で働き、学んでいます。

日本では技能実習生の受け入れが長く続き、現在は特定技能を含む幅広い在留資格で多くの方が働いています。技能実習・特定技能のどちらでも、主要な送り出し国の一つです。

ベトナムの基本情報

人口は1億人を超え、キン族のほか53の民族が暮らしています。公用語はベトナム語ですが、地域によって発音や語彙に違いがあります。

家族や年長者、祖先を大切にする文化が見られます。また、細かな手作業を得意とする人が多いです。

人口
約1億230万人(2025年推計)
都市人口は約38.6%、農村人口は約61.4%です。
出典:ベトナム国家統計局
面積
約32万9,241平方キロメートル(日本の約0.87倍)
首都
ハノイ
言語
ベトナム語
北部・中部・南部で発音や表現に違いがあります。
宗教
仏教、カトリック、カオダイ教ほか
信仰の有無や習慣には個人差があります。
日本との時差
日本より2時間遅い
日本からの飛行機
東京―ハノイ、東京―ホーチミンに直行便あり。所要約5時間30分~6時間30分 出典:日本航空「東南アジア・南アジア路線 運航計画」
平均年齢(参考)
約34歳(年齢中央値・2024年)
男性33.1歳、女性35.1歳
出典:ベトナム国家統計局「Population Projections 2024-2074」
平均月収(参考)
月額約840万ドン(就業者平均・2025年)
日本円で約5万2,000円
※1ドン=約0.0062円で換算(2026年7月時点)
出典:ベトナム国家統計局
食事の特長
米や米麺、野菜、香草、魚醤を使う料理が多くあります。
北部・中部・南部で味付けや好まれる料理が異なり、食べられない食材は本人への確認が必要です。

ベトナム人は、宗教観から祖先を大切にする文化があり、他のアジアの国々と同様に、日本よりも家族や年長者を大切にする傾向が強いです。

また、勤勉でまじめに働くため、日本人に近いところもあります。

とにかく残業が大好きで、残業を希望する人が多いです。日本の労働時間の上限を説明し、可能な範囲で残業をしてもらっています。

若年労働者も多いのですが、円安などの影響もあり、日本を就労先に選ぶ人が減っているようです。

ベトナム人材が多く就労している分野

飲食料品製造業が最も多い

2025年6月末時点で、特定技能1号として働くベトナム人は約14.6万人です。そのうち飲食料品製造業が約5.2万人で、最も多い分野です。

工業製品製造業でも多く働いている

工業製品製造業では約2.9万人が働いています。飲食料品製造業と合わせると、製造分野で働く人が全体の半数を超えています。

建設分野にも約2.8万人

建設分野で働くベトナム人も約2.8万人います。飲食料品製造業、工業製品製造業、建設の上位3分野で、ベトナム人の特定技能1号全体の約7割を占めています。

※人数は特定技能1号の在留者数です。

ベトナム人材を知るための背景

地域、年代、家庭環境、来日の目的によって考え方は異なります。次の内容を入口に、本人の経験や希望を確認します。

  • 家族や年長者を大切にする

    家族との関係や、年長者への礼儀を大切にする文化が見られます。

    来日の目的、送金、帰省の希望などは、本人の生活設計として確認します。

  • 手先が器用で、細かな作業を得意とする

    細かな手作業を得意とする人が多く、製造業などでも器用さを生かして働いています。

    作業手順や品質基準を具体的に共有すると、持ち味を仕事につなげやすくなります。

  • 宗教観は日本人に近い

    ベトナムは、80%が仏教徒ですが、フランス統治下でキリスト教も普及しており6%程度がキリスト教徒だと言われています。

    仏教徒とはいえ、日本と同じく実際は無宗教的な方が多く、行事ごとの時のみ宗教的な儀式を行うことが多いようです。

    一方で、祖先を敬う習慣や儒教の影響は生活文化として根づいています。

  • 徴兵制度がある

    ベトナムには徴兵制度があり、男性は原則として18歳から25歳までが招集の対象です。平時の兵役期間は原則24か月です。

    徴兵による軍隊生活は、厳しい規律のもとで集団行動や規則を守る経験になるため、日本での仕事にも活かされます。

文化・食事・生活習慣で配慮したいこと

信仰と年長者への敬意

特定の宗教を信仰していない人も多い一方、祖先を敬う習慣や儒教の影響は生活文化として見られます。

職場でも年齢を重んじる傾向があるため、相手が部下であっても年上の場合は、命令的な言い方を避け、礼儀をもって接します。

食事

米、米麺、野菜、香草、魚醤を使う料理が身近です。味付けや好みは地域や本人によって異なります。

共同生活では、調理器具、冷蔵庫、においの強い調味料の保管ルールを一緒に決めます。

テトの休暇

ベトナムには、旧暦の正月「テト」を祝うために家族が集まる、最も大切な年中行事があります。

例年1月下旬〜2月中旬ごろですが、日程は毎年変わります。

事前に長期休暇や帰省の希望を共有することで、繁忙期の人員配置や有給休暇を計画しやすくなります。

家族との連絡・送金

家族との定期的な連絡や送金を大切にする人もいます。

勤務中の私用連絡ルールを伝える一方、勤務外に落ち着いて連絡できる通信環境を確認します。

コミュニケーションのポイント

  • 注意は人前を避けて個別に伝える周囲がいる場で強く指摘すると、面目を失ったと感じ、相談しにくくなる場合があります。
    改善点は落ち着いて個別に伝え、できている点も合わせて示します。
  • 暗黙の了解に頼らず具体的に伝える背景や前提を共有しているつもりでも、意図が十分に伝わらないことがあります。
    期限、手順、優先順位、完成形を、写真や実物を使って明確に示します。
  • 返事の後に理解度を確認する「はい」「分かりました」という返事だけで判断せず、本人の言葉や実演で確認します。
    間違いを責めず、分からないときは質問してよいことを繰り返し伝えます。
  • 良かった行動を具体的に認める成果だけでなく、安全確認や丁寧な作業など、良かった行動を言葉で伝えます。
    改善点は次に何をすればよいかまで示し、成長の見通しを共有します。

よくある質問

技能実習・特定技能・育成就労で来日するベトナム人は多いですか?

はい。2025年末の在留ベトナム人は68万1,100人で、中国に次いで2番目に多い国籍です。

このうち技能実習は18万9,756人、特定技能は16万4,352人で、いずれも国籍別で最も多い人数です。

育成就労は2027年4月の制度開始が予定されています。今後は新制度の対象分野とベトナム側の送出し手続きを確認して受け入れを検討します。

ベトナム人材が多く就労している特定技能の分野は何ですか?

2025年6月末では、飲食料品製造業が5万1,590人で最も多く、工業製品製造業2万9,327人、建設2万7,811人、外食1万2,465人と続きます。

介護、農業などでも多く受け入れられています。候補者ごとの経験と、企業が求める業務内容を照らし合わせて選考します。

テトの休暇は必ず必要ですか?

必ず同じ日数の休暇が必要ということではありません。家族と過ごしたい、帰国したい、日本で通常どおり働きたいなど、希望は人によって異なります。

毎年早めに本人へ確認し、会社の休暇ルールの中で調整します。

残業を希望するベトナム人材には、どのように説明すればよいですか?

収入を増やすために残業を希望する人もいますが、希望どおりにいつでも働けるわけではありません。

会社の就業規則、残業の有無や上限、割増賃金、休日を具体的に説明し、本人の希望と体調を確認します。

ベトナム人材に長く働いてもらうために大切なことは何ですか?

給与や仕事内容に加え、日本で身につけられる技能、日本語学習、評価や昇給の基準、将来の選択肢を具体的に示します。

本人の文化や生活習慣を尊重し、休暇や働き方についての希望を正確に把握することも大切です。

定期的な面談で目標と困りごとを確認し、成長を実感できる環境をつくります。